ゲイの場合は肥満だったが、拒食症や自傷行為に傾倒する者もいる。また、精神的な苦痛を和らげるためにドラッグやアルコールに頼り、依存症になる者も......。ゲイにとってカロリーが高い食品を大量に食べ続けるのは、依存症の一部だったのだろう。

若年の性暴力の被害者がこれまでにも語ってきたことだが、残酷な体験のおかげで、健全な性行動や人間関係を持てなくなってしまう。

ゲイが、20~30代に性的な関係を持ったのは、無視や軽蔑、暴力をふるうような相手ばかりだった。そういう相手ばかりを引き寄せた。

「(それらの虐待)すべてを受け入れたのは、傷ものにされ、その後でも自分の体を破壊し続けてきた自分には、それよりましな扱いを受ける価値がないと知っていたから」

(I was a lightning rod for indifference, disdain, and outright aggression, and I tolerated all this because I knew I didn't deserve any better, not after how I had been ruined and not after how I continued to ruin my body.)

最も悲しいのは、30年経った今でも、ゲイが加害者に自分を傷付けるパワーを与え続けていることだ。

ゲイは、何年も経ってから加害者をネットで探し出し、無言電話をかけた。そして、加害者についてあれこれと考える。

「彼が始めたことを私が何年も止められないでいたのを、知っているのだろうか? セックスしているとき、彼のことを考えなければ、何も感じないということを知っているのだろうか? 彼のことを考えなければ、ただ動いているだけ......」(一部略。下記の英語ではそのまま引用)

(I wonder if he knows I have sought out men who would do to me what he did or that they often found me because they knew I was looking. I wonder if he knows how I found them and how I pushed away every good thing. Does he know that for years I could not stop what he started? I wonder what he would think if he knew that unless I thought of him I felt nothing at all while having sex, I went through the motions, I was very convincing, and that when I did think of him the pleasure was so intense it was breathtaking.)

性暴力の被害者は、このように歪(いびつ)になった心の傷からなかなか立ち直れない。ゲイのこの告白は、きっと多くの被害者が感じていることだろう。

でも、加害者にパワーを与えてほしくなかった。それが、私の正直な感想だ。

イエール大学をはじめ出願したトップ大学のすべてに合格したほどの頭脳明晰な女性の人生が、30年前に受けた性暴力のせいで、これだけすさんでしまうのだと伝える貴重な回想録である。また、性暴力の影響が決して消えないのだということも、生々しく教えてくれる。

そこに、本書の本当の価値があるのかもしれない。