この小説を読むと、アメリカの黒人たちが生まれたときから毎日のように与えられる「憎しみ」が肌感覚として理解できる。

以前のコラムにも書いたが、アメリカでは、カリルのように武器を持っていないにもかかわらず警官に殺される黒人が後を絶たない。だから、大人たちは、スターの両親のように子どもに「警官との接し方」を教えなければならないのだ。

この小説が描いているのは、白人による黒人差別だけではない。黒人街で、黒人が黒人を犠牲にするストリート・ギャング問題も描いている。

とても暗いテーマだが、しかし白人やアメリカ社会への怒りだけを描いた本ではない。何があってもスターの味方をする白人ボーイフレンドのクリスのキャラクターも含め、このYAは最後には希望を感じさせてくれる。