トロのこの「歩く」シリーズには、ユーモアもしばしば見られる。例えば3枚目のクリーニングされたばかりであろうスーツを運んでいる写真(上)は、人物が隠れ、スーツそのものが生き物のように見える。一方、はっきりと見えているキッチュなスニーカーのデザインは非常に今風で、伝統と歴史のある街との大きなコントラストを生み出しており効果的だ。
作品のバックグラウンド(背景)もまた、さまざまな要素をはらんでいる。すでに述べたようにランドマーク的な場面は含んでいないが、南欧のキリスト教文化、あるいは北アフリカのマグレブ地方(モロッコ、チュニジア、アルジェリア、モーリタニア、リビア)によく見られる濃いパステル系の色合いやアラベスク模様が、しばしば壁に描かれている。
ヒリヒリとして焼けつくような刺激性はないが、アンダルシア地方では日常的であろう心地よい暑さが伝わってくるような感じだ。これらの全ては、トロ自身が生まれた時からごく自然に吸収し感じ取ってきた光景、あるいは感覚なのである。
事実、トロはこう語った。
「私の写真に大きな影響を与えたのは、セビリアの街そのものだ。街は私の情緒面にも大きくつながっている。歩く人々の作品は、ある種、自分のセルフポートレート。彼らを通して、私は自分の生活を再び見つめ直すことができる」
今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Jose Toro @josetoro.0

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