そこには、彼女自身が本能的に持っているであろう構図へのセンス――パーフェクトになる手前でわざとドレスダウンした着こなしのような魅力が光っている。それがカザフスタンの首都アスタナの旧市街の街並みや、街の雰囲気と重なり合って不可思議で落ち着いたメランコリーな感じを漂わせている。
実のところ、こうした詩的な感覚こそがゴーアの最大の持ち味だ。結果として、見る者を彼女の世界に感情移入させてしまうのである。そしてそれは、彼女自身が密かに掲げている裏のアジェンダにまで目を向けさせるかもしれない。ホームレスの動物に自らを投影し、彼らの身の上を考えたりするのだ。それにより動物たちの境遇が変わっていくことを願っているという。
ちなみに、ゴーアの作品の中に流れる「メランコリー性」は、彼女によれば意図的なものではない。ある種、本能的な感覚であり、結果としてそうなっただけだという。
今後は動物だけでなく、人間の撮影も増やしていくつもりらしい。自分の写真世界をフレームの中には入れたくない、固定したくない、とゴーアは語る。自分が愛し、自分をエキサイトさせてくれるもの、興味を与えてくれるものも含めて、それらと写真を通して話したい――つまり、表現したいのだという。
それが、ゴーアが自身を取り巻くさまざまな世界と付き合っていく方法だ。
今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Evgeniya Gor @gykavka
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由