<ポーランドの写真家マグダリーナ・ワイロット。娘を被写体にした白黒写真から音楽の匂いが漂うのはなぜか>
今回取り上げるのは、マグダリーナ・ワイロット。南ポーランドの小さな村で育ち、その後に移り住んだクラクフ――歴史に翻弄されたかつてのポーランド王国の首都――をベースにしている写真家だ。
白黒写真でシュールなドキュメンタリー風の作品を造り出し、被写体の多くは自らの娘ペストゥカである。
初めてワイロットの写真に触れたとき、音楽の匂いがプンプンと漂っていた。それもインダストリアル・メタルの、雑音を激しく弾き出しながらもなぜか時が止まったような瞬間を感じさせてくる音楽だ。その草分け的存在、ナイン・インチ・ネイルズに代表される類の音楽である。
実際、音楽は彼女の作品に最も影響を与えているのだろう。高校は普通校でなく、音楽学校だった。また、クラクフの彼女の家にはテレビがない。代わりに音楽が溢れ返り、ジャンルを問わず、気に入った音楽の世界に入り込みながら暮らしているという。
とはいえ、音楽学校卒業後は、写真アカデミーで教育を受けている。ただ、そこで学んだ核心は、コマーシャルな写真は自分のテイストでない、と確信したことだという。そのためか、最近は再びいろいろな写真ワークショップに参加している。好きな写真家は、ダイアン・アーバス、ロジャー・バレン、アレック・ソスなどだ。
【参考記事】 NY音楽シーンの熱気を伝える、撮影者と被写体の信頼感