こうしたバックグラウンドを持つワイロットの作品は、意図的に白黒写真をハイコントラストにした"ざらつき感"を基調とし、混乱と神秘性を造り出している。しばしばブラックユーモアも含む。だが同時に、そうした刺激性とは相反しがちな儚さも漂わせている。

写真に対する、あるいは彼女自身の世界観も、混沌の中にある。人生とアートの中で最も価値を置くものは"歪み"や"矛盾"だと話す。正当性(もしくは、正しいと言われるもの)の縁にある不完全さや汚れに惹かれる、というのだ。

ワイロットは、社会がつくり出すステレオタイプにも反発している。彼女の知見によれば、人生での大きな決定――どういう教育を受け、どのような結婚をし、どんな仕事に就くか――は、たとえ自分では同意していなくても、社会的な枠組み、あるいは人間性そのものの目に見えない力の中で、小さい頃からほぼ方向性が決まっている。

我々が成長していくためには、本来は、そうした有害で制限されたものから脱していかなければならない、というわけだ。

実のところ、ワイロットが白黒写真を圧倒的に好むのもこのためだ。黒は、科学や言葉では表現できないが確実に存在する、ある種の人間性の隠されたメタファーになっているのである。

そして、ワイロットがそうした自身の世界観を写真を通して探求することは、彼女にとって、逆説的にさまざまな形の愛を見つけ出そうとする行為に繋がっている。だからこそ、多くの写真で自らの娘に焦点を当てているのかもしれない。子供から大人に成長していく時期のあやうい娘を温かく見守るために。

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Magdalena Wywrot @magdalena_wywrot

【参考記事】どこか不可思議な、動物と少女のポートレート

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>