<顔を映さず、人間のボディ・パーツを写真に収める南イタリア出身のファッション・デザイナー、オルネラ・アスコレセ。特別な目的が何かあるわけではなく、写真は自分の分身だと彼女はいう>

 人間のボディ・パーツは、それのみでメッセージを持っている。むしろ、直接的に顔を映し出さない分、イメージはミステリアスになり、時として内面的な魅力をより解き放ってくれる。南イタリア出身のオルネラ・アスコレセは、インスタグラムでそうした美学を探求している写真家だ。本職はベテランのファッション・デザイナーである。本格的に写真を始めたのは5年ほど前という。

 作品は、大半が白黒写真だ。退廃的で官能的である。が、よくこの手の写真家が落ち入りがちな押し付けがましさはない。むしろ、ふとした日常の中に存在し、たぶん誰もが持っている、だが見落としがちな感覚と視覚美を表している。それは、時に他人のボディ・ポートレイトだったり、あるいは、自らのそれだったりする。ただ、彼女自身にとって、セルフポートレイトであるか、あるいは他人のポートレイトであるかは二の次だ。作品を通して自らのヴィジュアル感覚を表したいだけという。

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 それは、彼女の写真哲学にも、いやその"非存在性"によく表れている。写真を通して達成したい何か特別な目的があるのか、と訊いたが、そんなことは考えたこともない、という答えが返ってきた。写真は自分の分身であり、ちょうど目の前にある一切れの紙にふとドローイングしてしまうようなものだ、という。単に小さな頃からヴィジュアル・パーソンだった、と。

Tanzproben | 2

ornellaascoleseさん(@or.nella)が投稿した写真 -

出身地と家庭環境が影響