「necomimiは、電通の内向的な女性社員のアイデアなんですよ」。加賀谷さんがプロジェクトチームのメンバーの1人、なかのさんの話をしてくれた。よく知らない人には自分自身をうまく言葉で表現できない。冷静そうに見えて、実は心の中では楽しかったり、一生懸命だったりする。それでは生きていく上で不便なので、自分の代わりに自分の心の中を表現してくれる器官がほしい。そういう思いから生まれた製品だったのだという。加賀谷さんが脳波の可能性に長年注目していたことや、脳波センサースタートアップとの縁もあり、集中やリラックスを耳で表現する脳波連動型のnecomimiの開発が始まった。

 脳波をアプリなどに利用しようという試みは以前からあった。ただ男性技術者の発想はどうしても、モノをコントロールする、という方向に向きがちだ。necomimiはコントロールではなく"ダダ漏れ=ステイタスの可視化"から起こるコミュニケーションを目指した。この発想のユニークさがあって、世界的にヒットしたのだと思う。

さびしがる掃除機、喜ぶジューサー

 その加賀谷さん、なかのさんたちのチームが今、手がけているのが、mononome(モノノメhttp://neurowear.com/projects_detail/mononome.html )という製品のプロトタイプだ。モノに「目」をつける。それだけのものだ。先行事例もいくつかある。ただこの「目」には振動などを計測する複数のセンサーがついていて、人と関わったことを察知する。

mononome(モノノメ)

「いっぱい触れあうとモノが喜んだり、関わらないと悲しんだりするんです」となかのさんは言う。「モノのキモチは人との関わる時間や頻度に拠るのではないかという人間本位の仮説ですが」。