3月26日、FOXの人気テレビドラマ『24』が現在アメリカで放送中のシーズン8で終了することが発表された。2001年に放送開始以来、FOXの看板番組の一つとして揺るぎないポジションを保っていた同番組だが、ついに5月24日放送の最終回でシリーズの幕を閉じることになった。

 番組の主役で、エグゼクティブ・プロデューサーも務めるキーファー・サザーランドは同日コメントを発表し、「自分にとっては生涯忘れられない役になった」と語った。「ジャック・バウアーという役を演じられたのは、世界中のファンのおかげ。感謝の気持ちでいっぱいだ」

 ファンにしてみれば、こんな嬉しい言葉も耳に入らないくらいショックだろうが、アメリカのエンタメ系のメディアでは数カ月前から打ち切りの噂が飛び交っていた。シーズン8までは、すでに06年時点で製作が決まっていたが、シーズン9以降についてはずっと宙に浮いた状態だった。それが今年に入ると、ハワード・ゴードンやアレックス・ガンサなど『24』の製作チームのキーパーソンたちが新しいドラマ企画に関わるといった話が報じられたり、映画化がらみの動きが出てきたり、番組終了を示唆するような材料が目立ち始めた。

 しかしつい最近までは、打ち切らずに他のテレビ局で放送を続けるのではないかとの見方もあった。業界記事などでは某大手ネットワーク局の名前も有力候補に上がっていたが、結局は折り合いがつかなかったようだ。

『24』は、1日24時間の出来事を24話に分けてリアルタイムで描くという斬新な発想や、テロの脅威と戦うジャック・バウアーという不屈のヒーロー像がポスト9.11時代のアメリカ人視聴者を魅了し、一大ブームを巻き起こした。06年にはシーズン5で、エミー賞テレビドラマ部門の作品賞と主演男優賞に輝いた。

 しかしシーズンを重ねるごとにストーリー展開のマンネリ感が否めなくなり、視聴率もシーズン5を境にじわじわと低下(今シーズンに入ってからは大幅に下落した)。その反面、製作コストは映画も顔負けの高さだ。ド派手なアクションシーンを数多く撮影しなければならないうえ、出演者の数も多い。米TVガイド誌によれば、主演のサザーランドだけでも1話あたりのギャラは55万ドル(アメリカのテレビドラマ俳優ではトップ)。1シーズンで1300万ドル近くかかる計算になる。

 これでは契約更新を躊躇しても無理はない。昨年8月にはFOXのある幹部がニューヨーク・ポスト紙に対し、「最終的には経営者が判断することになる。ひとつのシリーズを製作するのに莫大な費用がかかるドラマだから」と語った。

 しかしシリーズが終了しても、ジャックに会えなくなるわけではなさそうだ。映画化の話は何年も前からあったが、テレビのシリーズが続いている間は手をつけられなかった。毎年1シーズンの撮影に10カ月近くかかるため、映画を同時に撮影するのはほぼ不可能だったからだ。

 テレビシリーズが終わるとなれば、映画化に向けた動きが加速するだろう。すでに脚本はビリー・レイ(『消されたヘッドライン』)が手がけると言われているし、サザーランドも「ハワード・ゴードンも私も『24』の映画版を作ることを楽しみにしている」と語っている。

 ジャックがひと休みできるのはまだまだ先になりそうだ。

――編集部・佐伯直美

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