しわのない白シャツが不要な仕事環境に

思うに、洗濯に対する僕の態度は何年も前のある出来事によって形作られた。貧乏学生だった僕は、(イギリスのブランド)ベン・シャーマンの肌触り柔らかなコットン製のシャツに大金をつぎ込んだことがあった。1回か2回着てから、母がそれを洗濯した――確実にきれいに洗うためにイギリス人がよくやりがちな、高温のお湯で。

シャツは縮んで袖が僕の手首から5センチも短くなってしまった。僕は袖をまくってその後数回来たけれど、それを見るたびにお気に入りのシャツがダメになったことを思い知らされ、結局は僕より腕の短い誰かに譲ってしまった。

明らかに、ここには文化的な側面がある。実際、匂いもしていないしあと2~3日は着られそうだから洗濯する必要なし、と思ったシャツでも、薄汚れてしわくちゃだったら、仕事に着ていくわけにはいかないものだ。

もしかすると、それこそがポイントかもしれない。自宅でリモートワークをしてオフィスに行くのは週に1度か2度という人が増えた。あるいはパリッと糊のきいた白シャツが必要とされない場所で仕事する人が増えた。というわけでおそらく、僕はトレンドを先取りした先見の明のある人物だったというわけではないが、フリーランス記者という生活スタイルのおかげで、単純に大抵の人より早くこのトレンドを取り入れられたのだろう。

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