君主は「政治を超越」しているからこそ存続していられる、とたびたび言われる。でももっと正確に言えば、女王は日々の政治には口出ししないものの、重要な問題では特別な介入を行う。スコットランド独立の是非を問う14年の住民投票の前には、女王は「人々が将来について非常に慎重に考える」ことを望んでいるとコメントした。遠回しではあるが、歴史ある連合をナショナリスト的熱狂で思慮なく解体させないように、との明確なメッセージだ。

身内の王室に関しても女王は動き、王位継承について地固めをした。18年にはコモンウェルス(英連邦)首脳陣に、チャールズ皇太子を次期首長にすることを要請。今年2月には、在位70年のコメントで、チャールズが王位に就く際には妻カミラに王妃の称号を望む、と表明した。断るわけにはいかない要望だ。事実上、これらは重要な憲法上の問題。女王は絶大な影響力をめったに行使しないからこそ、ここぞという時の発言が尊重される。

イギリスの人々は時に、なぜ女王は退位しないのか、と疑問を口にする。女王がコロナに感染した今もそうだ。1947年、まだ王位に就いてもいない時に、彼女はこう述べた。「長かろうが短かろうが、わが生涯を国民への勤めのためにささげることを誓う」

95歳になった今も、21歳の誕生日に誓ったこの言葉に彼女が縛られ続けるべきだ、とは誰も思わないだろう。ただ一人、女王自身を除いては。だからこそ女王は、洪水被害に見舞われたブラジル国民に哀悼の意を伝える、といったもろもろの「軽い公務」を今週も続けているのだ。

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