3月にはちょっとしたパニック買いも起き、当時は非難の声が上がった。いま思えば、人々はただロックダウン中に必要になると思ったものを買い求めようとしただけに見える(しかも、常に自宅で食事をしているので、いつも以上に必要な物に気づいてしまうのだ)。

僕の場合は、週に1度程度はスーパーマーケットに行かざるを得ないが、どの陳列棚にも商品がどっさりある一方で、客はほとんどいない。おかしなことに、店内では新型コロナウイルスの危機が発生した当初の録音メッセージがいまだに流され続けている。「混雑時(!)ですので、どうぞご辛抱ください...必要以上の購入(!)はご遠慮ください...」

いま、警察は外を回っているし、地方自治体もパトロールをしているが、彼らは暇そうに見える。誰もルールを破る人がいないので、特にすることがないのだ。この状態は、最初に英政府が打ち出したスローガンによるところが大きい。「自宅待機を。NHS(国民保健サービス)を守りましょう。命を守りましょう」。このメッセージは、ただ単に脅威(自分の健康への脅威や当局の脅威)をあおるだけでなく、僕たちの良心に訴えるところがあった。医療従事者に重荷を背負わせてはいけない、と。

先の見えない状況下で明るい話を探そうとしているのは僕だけじゃない。僕の場合のうれしい収穫は、これまで自分たちイギリス人を「過小評価」していたけど、なかなかやるじゃないか、ということに気付いたことだ。