そんな状況は、お隣の韓国も同様だ。最近まで韓国には、退職代行というサービスがなかった。

だが日本の事例が大きくニュースで取り上げられ始めた2020年頃から、ある労務法人が退職代行を開始。日本と比べるとまだ市場は小さいが、韓国の利用者の6割以上が20~30代の若者層だという。

最初の職場の勤続期間は平均18・8カ月にまで短くなり、入社してすぐに転職を考える人が非常に多いのが実態だ。

これから退職代行を担う企業が急増する可能性も高いだろう。近年、韓国やアメリカでは「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉も話題を呼んでいる。

特に20~30代の間で広がっているキーワードだが、「実際には退職したい気持ちを持ちつつも、最小限の業務だけは果たす行為」を意味するという。職場への情熱や愛情がないまま、退社したかのような心構えで働く若者が増えているということだろう。

時代の変化とはいえ、日本や韓国では「働くことの大切さ」とともに「働いたことが生み出す価値」がどんどん薄まってきている気がする。働くことの楽しさや得られる経験、人間関係をもっと大事にする社会になれたらいいなと願うばかりだ。

さよならに句点を打てば

 巡り合う春風のよう笑顔で会える

   ──カン・ハンナ

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ソウル出身。2011年に来日し、2020年に歌集『まだまだです』で現代短歌新人賞受賞。NHKラジオ「ステップアップハングル講座」に出演し、起業家としてコスメブランドも立ち上げた。著書に『コンテンツ・ボーダーレス』
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