『ウィキッド 永遠の約束』戦うエルファバ
「悪い魔女」の烙印を押されながら虐げられた者のために戦うエルファバ ©UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED

暗くシリアスな世界へ

とはいえ『ウィキッド』最大の魅力は権威主義や圧政を風刺する物語ではなく、ほうきとシャボン玉に乗って空を飛び、圧倒的な歌唱力を披露する2人の魔女にある。

グリンダとエルファバは『シカゴ(Chicago)』のロキシーとベルマのように物語を超越した存在感を持つ。空を飛ぶすべを身に付けた2人は、『永遠の約束』で比喩的にも文字どおりの意味でも高く舞い上がる。

映画自体は軽い「続編病」にかかり、前作に比べると平凡なアクション超大作になってしまった。それでも「これぞ映画スター!」と喝采したくなるエリボとグランデのパフォーマンスを見逃すのは惜しい。

新作は第1幕から数年後、「悪い魔女」の汚名を着せられたエルファバが森に潜伏中だ。迫害される動物たちのために戦い、支配者である魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)の嘘を暴こうとしている。

オズの国では権威主義が台頭し、大学で魔法学を教えていたマダム・モリブル(ミシェル・ヨー)は魔法使いの報道官としてプロパガンダを垂れ流してエルファバへの反感をあおる。意志の弱い魔法使いは、人間の言葉を話す動物への弾圧をやめようとしない。

グリンダはリアリティー番組のスターのような存在になっている。本当は魔法を使えないのに、モリブルの手でおとぎ話のような幸福の象徴に祭り上げられ、「善い魔女」として民衆に愛されている。

今回はグリンダが実質的な主人公