シンガポールの国防戦略研究所上級研究員コリン・コーは、この動きは、中国が近海中心の「グリーンウォーター」海軍から、九州からフィリピンを結ぶ第一列島線を越えて持続的な作戦行動が可能な「ブルーウォーター」海軍へと長期的に転換する流れに沿うものだと指摘する。
第一列島線は、米国が地域紛争時に中国人民解放軍海軍を封じ込める上で重要とみなす防衛ラインを指す。
この方向性は、1980年代に人民解放軍海軍を率いた劉華清提督が数十年前に示した3段階の海洋戦略構想と重なる。後半の段階では、伊豆諸島とインドネシアを結ぶ第二列島線まで作戦範囲を拡大し、最終的には米海軍に匹敵する世界規模の空母戦力を保有することが展望されている。一方で、無人機の群れや極超音速ミサイルといった技術の前で、空母の有効性が揺らいでいるとの指摘もある。これらは中国自身も接近阻止・領域拒否戦略の一環として重点的に投資してきた分野だ。
「中国の戦略家は、空母が直面する脅威を以前から認識している」とコーは述べる。ドローンや極超音速ミサイルの脅威はあっても、中国は空母を将来戦略の中核と見なし、技術的対抗策で対応できると考えているという。
地位の問題もある。「空母は依然として海軍力の中核であり、より広い戦略的意味での海洋力を支える存在だ」とコーは語った。
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