「仕事を続ける意味があるかと考えたとき、ホストはもっと社会と向き合うべきと思った。これからは商品の差異がなくなり、何を買うかから、誰から買うかに変わる。その人が好きだからと。ホストの仕事は将来そのまま何かに転化できると思った」
インタビューの最中、彼の事務所ではクラシックが流れていた。隣の部屋ではお客さんの高齢者が談笑し、デスクでは赤ちゃん連れの女性が働いていた。手塚さんは普通なのだろうか。普通とは、受け身で個性を埋没させるもの。しかし手塚さんの「普通」は能動的だ。周囲を観察し、自分を客観視する。理想は高く、既存のものに満足しない。手塚さんの「普通」は周囲の普通を刺激する。
インタビューを終えたとき、歌舞伎町の雑居ビルの一室に響くシューマンへの違和感は消えていた。
<本誌2019年12月17日号掲載>
