今の状況は、1993年のインターネット黎明期とよく似ている。当時のインターネットも電子メール程度しか本格的には活用されていなかったが、今日のドローンも、スイス国立郵便局やシンガポール・ポストが郵便配送として活用をしている程度だ。Yahoo!もAmazonもグーグルもなかった1993年、今日のインターネットを取り巻く環境を誰が想像できただろうか? 同じように今日、これからやってくる「拡張するインターネット」を思い描くのは難しいのかもしれない。

Swiss Postのドローン郵便配送の実証実験  SWI swissinfo.ch-Youtube

 日本で(もしくはいまだに世界のほとんどで)ドローンといえば、危険な物として「規制対象筆頭プロダクツ」である。総理官邸や世界遺産に墜落したり、もしくは激突した例は、この半年だけも枚挙にいとまがない。確かにそれは、ある面ではその通りだ。なにしろ、誰もが免許もなく好き勝手に操縦しているのだから。

「現実世界」をキャプチャーするドローン

 しかし、「拡張するインターネット」としてのドローンは、少しばかり違う。決まった航路を誤差数センチで飛び、時にはモノを運び、時には「リアルな情報」を捕まえてくる。それは、音楽や映画、書籍、そしていまご覧いただいているこの記事のようにデジタル化されたものではない「物理的に存在する」モノや情報を運び、どんなに優れた検索エンジンでも探すことができない「現実世界」をキャプチャーすることを可能とするシステムの登場だ。すなわち、これから二十年かけて、インターネットは重力に挑戦することになる。

 いまから3年ほど前に、僕が「もうじきカメラが空を飛びはじめますよ」と話すと、多くの人たちは、聞く耳を持たなかった。見たことがない、新しいテクノロジーは人によっては恐れる対象となる。だが、本当に恐れるべきなのは「ダブル・ドッグイヤー」と呼ばれるドローン業界の急速な進化スピードに乗り遅れることだと思う。日本のいままでの二十年のように。だから、もう一度話そう。「もうじきインターネットが空を飛びはじめますよ」と。

今年1月に行われたCES2016で、インテルのブライアン・クルザニッチCEOが、基調講演でドローン「Typhoon H」を紹介した。 Innovative UAS-YouTube