<「ルールが私たちを守ってくれないなら、自らの手で守るしかない」――ヨーロッパはアメリカ依存を見直し、停滞を断つ改革に踏み込めるのか>

ドナルド・トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有を求めて引き起こした騒ぎは、欧州に意外な恩恵をもたらした。

トランプの気まぐれで威圧的な振る舞いが欧州の指導者たちに、信頼できないアメリカから自立すべき必要性を認識させ、自らの停滞した経済・安全保障政策と決別することを迫ったのだ。

トランプは1月19〜23日にスイス東部のダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、改めてグリーンランドの領有を主張。武力侵攻をちらつかせては撤回するという騒動を起こして、ニュースの見出しを独占した。

しかし、より深いところで交わされていた議論は別物だった。いつもは当たり障りのない議論に終始するダボス会議で、欧州諸国はトランプの主張に公然と反旗を翻し、率直な自己反省を始めることになった。

これまで欧州は、アメリカに追随すれば経済復活の道が開けると自らに言い聞かせてきた。その幻想を今、捨てたのだ。

筆者は25年間にわたってダボス会議に参加しているが、欧州の停滞はそのほぼ全ての回で意識され続けてきた問題だ。現状を変えるのは難しく、アメリカの後を追うのは容易だった。ところが、2期目に入ったトランプが、その力学を変えた。

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グリーンランド騒動が転機に