<近代化を急ぐ一方で、兵士の暮らしと将来は後回しだ。待遇への不満と組織への不信が、採用のボトルネックになっている>

中国の人民解放軍は、アメリカの軍事戦略において大きな存在であり、将来の戦争では急速に近代化しつつある敵として描かれる。

中国では、兵士の社会的地位は時代とともに変わってきた。歴史的に、兵役は過酷で危険、教養のある者にふさわしくないと見下されることが多かった。「好鉄不打釘、好人不当兵(良い鉄は釘〔くぎ〕にならず、優秀な人は兵士にはならない)」という言葉もある。

1910年代から40年代にかけて内戦と外国からの侵略が繰り返された混乱の時代、兵士は制服を着た盗賊も同然と見なされた。後に人民解放軍となる中国共産党の武装勢力は、そのイメージ向上に努めた。

共産党はソ連を参考に、兵士を規律の取れた英雄に変えようとした。プロパガンダや日本に対する愛国戦争、後には朝鮮戦争におけるアメリカとの戦いにより、兵士の評判は大きく高まった。

49年に中華人民共和国が成立した後、特に文化大革命の時期は、農村出身の若者が人生を向上させる数少ない手段の1つが軍隊だった。

しかし、79年から「改革開放」のもと経済の近代化が始まると、大学進学や都市生活が軍隊より高い収入と地位をもたらすようになった。配給や厳しい政治的規律から解放された市民に、軍隊は時代遅れに映った。

人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
PR
一人っ子の重荷