本調査に同行していたニュージーランド自然保護局で上級生物多様性レンジャーを務めるリチャード・キンジーは、フィヨルドランドでの海洋レンジャーとして長年勤務してきたが、これほど大きなクロサンゴを見るのは特別な体験だったと興奮を隠さない。
「フィヨルドランドで20年近く海洋レンジャーをしてきたが、これほど大きなサンゴを見ることはめったにない。私の記憶の中でも間違いなく最大のものだ」
現在、ビクトリア大学の研究者たちは、ニュージーランド自然保護局およびフィヨルドランド海洋保護団体と協力し、フィヨルドランド一帯に存在する保護対象のサンゴの分布をマッピングする作業を進めている。ベル教授は、ダイバーや船舶利用者が高さ4メートルを超えるような大きなクロサンゴを見かけた場合は報告してほしいと呼びかけている。巨大サンゴの分布状況やその希少性を把握する手がかりになるからだ。
クロサンゴはどんな生き物?
クロサンゴは、名称に「クロ」とあるものの、実際には白く見える。生きた組織が黒い骨格を覆っており、外から見えるのはその組織だからだ。
なお、クロサンゴはニュージーランドの法律によって保護されており、意図的に採取したり損傷させたりすることは禁止されている。
また、他の種類のサンゴと似ているため、それが既知の種か、新種のクロサンゴなのかを特定するには顕微鏡による観察が必要となる。
他にも、クロサンゴは主に深海域に分布し、薬用や装飾品として広く利用されてきた。また、深海生物にとっての重要な生息地ともなっている。
ただし、成長が非常に遅く寿命も長いため、このサンゴや、それを棲家とする生き物は、環境の変化や人間の活動といった外部からの影響に弱い。
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