税金の場合、国税庁のサイトから住民登録番号と名前を入力し、電子署名で本人確認をしてログインすると、本人の住所と家族関係、その年の所得、金融所得(証券取引や貯金利子収入)源泉徴収額、使った医療費と教育費などのデータがぽんぽん出てきて、よほどのことがない限り、自分で金額を入力する必要も、書類を提出する必要もなく確定申告が終わる。

 電子政府を利用するには「公認認証書」という本人確認のための電子署名が必要である。公認認証書は、基本的に銀行のインターネットバンキングを利用する際に必要なもので、銀行口座を持っている成人であれば誰でもネット上で作れる。これをUSBやスマートフォンに保存してログインする際に使う。

 病院に行く際も、保険証や診察券はいらない。身分証さえあれば病院側が行政のデータベースからその人が健康保険に加入しているかどうか、過去の診療内訳も確認する。患者が病院のアプリから診療予約を行うと、当日アプリ経由で病院内のどこに行けばいいのか順番通り案内してくれるので病院内で迷うこともない。処方箋もアプリに届くよう設定できる。現在は地域内病院・大学病院間で診療・検査記録も共有するので、患者が転院しても、同じ検査を繰り返す必要がなくなった。

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 オープンガバメント政策により、電子政府サイトで政府が保有する公共データベースも公開、アプリ開発やビジネスに活用できるようにもしている。

 電子政府は住民登録番号があったからこそできた行政サービスである。当初の番号制導入の目的は北朝鮮のスパイを識別するためだった。韓国では1968年から法律によって国民に番号を発行し、1970年から現在の13ケタの番号制度の住民登録制度が始まった。住民登録番号には生年月日と性別、出身地などの情報が盛り込んである。韓国人は出生申告をすると住民登録番号を付与され、行政・医療・教育など全てを番号で管理される。韓国では本人確認の名目で、携帯電話に加入するにも、インターネット回線を使うにも、銀行で口座を作るにも、何をするにも住民登録番号が必要だった。政府機関だけでなく民間企業も住民登録番号と個人情報を紐づけて管理してきた。いざ番号があると、管理される側も楽なので国民総背番号制に対する違和感も不安もなくなる。