ラシーの回復のきっかけは、正しい診断と治療を受けたことだったという。現在クリスタルは、自身の経験をもとに小児突発性神経精神症候群(PANS)について広く知ってもらおうと発信を続けている。

PANSとは、強迫性障害や極端な食事制限が突然現れ、同時に急激な行動の変化が見られる病で、感染症との関連が指摘されているが、明確な引き金が特定されないケースも多い。

PANDAS医師ネットワーク(PPN)によると、PANSの一種で、同じく突然発症する小児自己免疫性神経精神障害(PANDAS)は、連鎖球菌への感染との関連性が示されており、チック(突発的な動作や発声)や神経学的な変化を伴うことがある。

どんな症状が出る?

PANSやPANDASを発症した子供は、強迫的な行動や極端な食事制限といった症状が突然現れるだけではない。同時に2つ以上の深刻な症状が急激に現れるのが特徴だ。

主な症状としては以下のようなものがある:

・強い不安感

・気分の浮き沈みや抑うつ状態

・怒りっぽさや攻撃的な言動

・行動の退行(幼児のような振る舞いに戻る)

・学力の急激な低下

・運動機能や感覚の異常

・睡眠障害などの身体的な不調

ラシーは、これらすべての症状に苦しんでいた。クリスタルは、娘が突然「怒りっぽくなった」と語っている。

PPNは、複数の感染症への同時曝露が免疫系に誤作動を引き起こし、こうした症状が出ると考えている。通常であれば働くはずの防御機構がうまく機能せず、免疫細胞が誤って健康な組織を攻撃してしまう。あるいは、免疫反応が過剰に活性化し、神経細胞を標的にしてしまうケースもあるという。

さらに、こうした異常な免疫反応を起こしやすい遺伝的な要因を持つ子供も一定数いると考えられている。

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