<紀元50年頃に何かが起こっていた?>

沈没船が見つかったのは、アレクサンドリアのポルトゥス・マグヌス内にあるアンティロドス島の港。

アンティロドス島にあった王宮には、女王クレオパトラとその恋人であったローマの将軍マルクス・アントニウスといった歴史上の著名人物が滞在していたと考えられている。

今回発見された沈没船に関する調査はまだ初期段階だが、IEASMは「ローマ初期のエジプトにおける水上の生活、宗教、贅沢、享楽の様子を垣間見せてくれる極めて興味深い発見だ」と述べている。

ゴディオも、「この興味深い沈没船は、アレクサンドリアの運河を航行するために使われていた可能性もある。一方、アンティロドス島のイシス神殿の発掘現場に非常に近い場所で発見されたため、紀元50年頃にこの神殿が(何らかの要因で)壊滅的な破壊を受けた際に沈んだのかもしれない」としている。

さらに「宗教儀礼のために神殿側が所有していたものであり、イシスを称える祭礼航海『ナビギウム』の中で、豪華に装飾され、太陽の船の象徴として登場したのかもしれない」と、この船が儀式に用いられていた可能性も指摘した。

「この船は、毎年のイシス神に関する儀式的な航海を行っていた。アレクサンドリアのポルトゥス・マグヌスからカノープス(アレクサンドリアから東に20キロほどの位置にあった古代都市)のオシリス神殿まで、カノープス運河を通って航行していたのだ」

こうした遊覧船の中で最も有名なのは、プトレマイオス朝の豪華な浮かぶ宮殿のような船だ。有名なのはクレオパトラ7世の船であり、紀元前47年の春、彼女がユリウス・カエサルにエジプトを案内するためにこの船を用いたと言われている。

古代のエジプト人は、地中海を航行しながら何を思っていたのだろうか。

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