<「電気を使わない自動ドア」は、CO₂を排出しないだけでなく、災害時も問題なく稼働する。電気代がかからないので経済的という利点もある>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

2011年の東日本大震災後には電力危機が発生し、関東を中心に計画停電が実施されたことは記憶に新しい。その後も脱炭素やエネルギー安全保障への関心が高まる中、「電力依存」の限界が指摘されてきた。

日本列島は地震・台風・豪雨といった自然災害の頻発地域であり、停電リスクに備えた社会インフラの強化が急務である。

例えば、公共施設から商業施設まで日本の至る所にある自動ドアには、停電が起きると作動せず、開けっ放しになるというリスクがある。福祉や都市づくりの観点から見ても、高齢者や子どもなど、誰もが安心して通行できる入り口の確保は欠かせない。

このような課題に、「電気を使わない自動ドア」で立ち向かう会社がある。自然の引力のみで稼働する自動ドア「ニュートン」の開発・製造・販売を行っている、Newtonプラス株式会社(本社・東京)だ。

「人と地球にやさしい自動ドア」を掲げ、改良重ねること14年

「電気を使わずに自動で開閉するドアなど存在するのか」

Newtonプラスが世間から問われ続けた問いだ。その問いに応えるべく、代表取締役社長・川那辺博康氏のもと、「人と地球にやさしい自動ドア」という理念を掲げ、「ニュートン」を開発、14年にわたり改良を重ねてきた。

電力を一切使わず、人の重さという荷重のみで作動するため、構造は驚くほどシンプルだ。災害時でも確実に稼働し、CO₂を排出しない。環境、安全、経済の三拍子を実現するこの技術は、まさにSDGsの理念を具現化した製品といえる。

着想の原点は、滑り台だった。勾配があれば、モノは上から下へ自然に移動する。「ドアにこの原理を応用すれば、自然の力だけで自動開閉が可能になるのではないか」というひらめきから、数年にわたる研究開発が始まった。何度も失敗と議論を重ねながら、社員一丸となって仕組みを磨き続け、今の完成度にたどり着いた。

人がドアの前に立っている間は閉まらず、離れると自然にふわりと閉まる。最初は半信半疑だった多くの人が実際に体験して、「こんなに簡単な仕組みで事故も故障もなく動くのか」と感心し、最後は思わず笑顔になる。そんな「驚きと納得」の瞬間が、これまで幾度となく繰り返されてきた。

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