<環境問題と地域課題の両方に挑むのが、スーパーホテルの「地産地消のホテルづくり」だ。阿蘇の草原再生を通じて見えた、新しいホテルの役割とは>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

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熊本県の阿蘇に広がる草原は、1000年以上にわたり人の営みによって維持されてきた貴重な文化的景観であり、九州全体の水源涵養にも寄与している。しかし、近年は担い手不足などにより草原の減少が進み、その存在は危機に瀕している。

こうした状況の中、ホテル事業を通じて地域の課題解決に貢献することを目指し、地域との「共創」による地産地消のホテルづくりに挑戦している会社がある。株式会社スーパーホテルだ。

その土地の未利用資源を利用して地域活性化を

「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに掲げ、国内外で177店舗(2025年8月末時点)を展開するスーパーホテルは、環境と地域への配慮を経営の根幹に据えてきた。

2043年度のカーボンニュートラル実現を目指し、宿泊時に発生するCO₂を実質ゼロにする「CO₂実質ゼロ泊」や、ペーパーレスチェックインや歯ブラシの返却、連泊の際の清掃スキップに協力してもらう「エコひいき」活動など、顧客参加型の環境負荷低減活動を行っている。

同社が特に注力しているのが、新規開業やリニューアルに際して、地域資源の積極的な活用を図る「地産地消のホテルづくり」だ。

2024年のスーパーホテル大阪天然温泉での大阪府内産のヒノキ材のフレーム設置、2025年8月のスーパーホテルPremier富山・城址公園前での富山県産材を利用したテーブル設置に加え、2025年6月に開業したスーパーホテルPremier阿蘇熊本空港でも「地産地消」の取り組みを行った。

阿蘇の未利用資源である茅材をアップサイクル(廃棄物や不用品にアイデアやデザインといった新しい付加価値を加えて、元の製品よりも価値の高い製品へと生まれ変わらせること)し、ホテル内装に活用したのである。

茅材をアップサイクルしたラウンジのテーブルの天板
地域住民とスタッフが刈り取った茅材をアップサイクルしたラウンジのテーブルの天板
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持続可能な地域社会実現のため、顧客も自然に巻き込む