汚職で服役中の元首相を政治目的で恩赦?

国王が受刑者を恩赦する権限を持つことも、事態をより複雑にする。18年には、当時の国王ムハマド5世が禁錮刑を受けていたアンワルを恩赦で釈放し、司法における国王の役割や政治目的での権限乱用の可能性が論議された。

最近では、政府系ファンド「1MDB」をめぐる汚職で服役中のナジブ・ラザク元首相への恩赦が物議を醸している。国王が主宰する恩赦委員会が、ナジブの刑期半減と罰金の大幅減額を決定したのは1月29日。アブドゥラが退位する直前だった。

こうした状況は政治権力だけでなく、社会力学や君主制の捉え方にも影響を及ぼす。政治と経済への国王の関与拡大は、立憲君主制の下での国王の中立性や非政治性を損なうことになるのか──。

絶えず変化する社会政治的環境の中で、マレーシア国王の立場は慣習と現代的統治のニーズの微妙な均衡、儀礼的義務、内政によって決まる。新国王の動きと国家の行方を、今や国中が見守っている。

From thediplomat.com

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