<貧困や汚職など、国内問題を「イスラエルとの戦い」のせいにして国民の目をそらしたいフーシ派。状況を打開できる可能性のある選択肢は1つだけ>

中東情勢がますます混迷を極めつつある。アメリカ軍とイギリス軍が、イエメンのイスラム教シーア派組織であるフーシ派の拠点を攻撃した。

イエメン国内の少なくとも16カ所の60の標的に対し、航空機と艦船、潜水艦から100発を超す精密誘導弾を発射した。

バイデン米大統領が攻撃に踏み切った理由は理解できる。現在イエメンの多くの地域を支配しているフーシ派は、昨年11月以降、紅海で27隻の商船に対してドローン(無人機)やミサイルで攻撃を行っている。

これにより被害を受けた国は50カ国を超す。紅海は、欧米とアジアを結ぶ海上輸送ルートの要衝だ。

しかし、今回のフーシ派への攻撃は、中東の戦争をエスカレートさせ、戦いを拡大させかねない。アメリカが一層戦争に引きずり込まれること、そして和平がますます遠ざかることは避け難い。

シーア派を国教とするイランの支援を受けるフーシ派は、スンニ派のサウジアラビアが支援するイエメン政府と長期の内戦状態にあり、2014年以降は首都サヌアを含む多くの地域を支配下に置いて統治する。

近年は、イランとレバノンのシーア派武装勢力ヒズボラの支援により、戦闘能力を大幅に強化してきた。

フーシ派はこの1年ほど、イエメン政府と戦う反政府勢力にとどまらず、ジハード(聖戦)のリーダーとして自らを位置付けようとしてきた。掲げているスローガンは「アメリカに死を、イスラエルに死を、ユダヤ人に呪いを、イスラムに勝利を!」だ。

その一環として昨年11月以降は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで多くの民間人を殺害していることへの報復と称し、紅海で商船への攻撃を繰り返している。

もっとも、英ケンブリッジ大学の中東専門家エリザベス・ケンドールの見方によると、フーシ派にとって商船攻撃は、国内の問題から国民の目をそらすための口実になっているという。

国内の貧困や汚職蔓延をイスラエルとの戦いのせいにし、国民の結束を強めようというわけだ。アメリカがフーシ派攻撃に踏み切ったことにより、今後どのような展開が予想できるのか。

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