開発の原点は「海外のアパレル産業への疑問」

鈴木氏がカバロスの開発を始めたのは、海外に拠点を置く日本人技術者と出会い、その技術に惚れ込んだことが大きなきっかけだった。そして同氏は「もう一つ転機となった出来事があります」とも語る。

「当時は海外出張の機会が多かったのですが、海外のアパレル産業では児童労働や薬剤の垂れ流しが日常茶飯事でした。こういった光景を頻繫に目にしているうちに、私も普通のことだと感じるようになっていました。しかしある時、この現状に疑問を抱くようになったことが、カバロス開発の原点となっています」

こうした背景があり、カバロス開発においては、企業の社会的責任や透明性、トレーサビリティの確保を重要視するほか、サステナブルな原料を使用すること、染色工程や機能付与工程などの製造工程での環境負荷を削減することに努めているという。

この取り組みが評価され、朝日新聞で取り上げられたり、テレビ東京「ガイアの夜明け」で2度も密着取材されたりしている。さらに、2023年には「カバロスのサーキュラーファッション」で、第11回技術経営イノベーション大賞「内閣総理大臣賞」を受賞に至っている。

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左から、hap 専務取締役クリエイティブディレクター ⽮作⽐呂貴氏、hap 代表取締役社長 鈴木素氏、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官 奈須野太氏(肩書は当時のもの)、hap スマートウェア事業部ディレクター 宮⽥昇氏

hapは海外にも積極的に進出しており、2019年にフィンランドに研究機関としてCOVEROSS株式会社を設立したほか、バングラデシュでダッカ大学・信州大学とデング熱対策の共同研究を行っている。また、アメリカでは2018年に「カバロスウィザード」が、国際綿花評議会の「What's New In Cotton(革新的コットン)」に日本企業による取り組みとして初めて認定されている。

hapはSDGsの取り組みにおいて、パートナーシップを重視しており、大学や企業と連携し、共同研究やサービスの展開を進めている。今後、海外の大学や企業にも手を広げることで、アパレル業界における問題解決の取り組みが、日本のhapを起点により国際的に広がることを期待したい。

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