創業から変わらない精神が、建築塗料業界の未来を変える

キクスイSA工法の施工前後比較
キクスイSA工法" Sustainable Aqua Veil Application Method"は、建物の美観を回復し長寿命化を可能にする完全水系の仕上げ材

菊水化学工業が創業した1960年代は、VOCを多量に含んだシンナーで希釈する溶剤系塗料が一般的で、多くのメーカーが取り扱っていた。近年では、環境配慮のニーズから水系塗料への置き換えが進んでいるが、外壁への密着性や乾燥スピードといった性能・施工性は溶剤系塗料の方が優れている、というのが今なお根強い通説だ。それでも、菊水化学工業が水系塗料にこだわるのは「みんなのために よりよい商品 ゆたかな愛情」という社是と、それに基づく創業の精神にある。

「当社は、社是をもとに創業当初から環境・社会・経済に配慮した製品の開発・製造・販売に努め、地域の未来を創造することに貢献し、ともに持続可能な社会の実現を目指してきました。さらに現在では、水系塗料の普及に加えて、製造過程で発生するCO2を減らす努力を続けています」と担当者は語る。

その言葉通り2023年には、産業副産物として排出されるフライアッシュや高炉スラグを利用したジオポリマー塗材と、CO2削減を可視化できる低炭素対応型塗料という2つの製品開発に成功し、販売を開始している。今後は溶剤系塗料から水系塗料への置換を進め、2030年までに自社製品の90%以上を水系製品にすることを目標に掲げ、その達成のため環境負荷の軽減と気候変動に役立つ製品開発を進めていくという。

海外でも、塗料によるVOC排出の抑制に向けた取り組みが行われているが発展途上国では今でも溶剤系塗料が主流となっている。先進国ほど安全基準が決められていないため、こうした溶剤系塗料による環境・健康への悪影響は計り知れないだろう。そのため、菊水化学工業のような考えをもった企業が環境・健康に配慮した製品を開発し、世界中で普及すれば、塗装現場のSDGs達成の一助になるだろう。

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