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──そのストーリー自体にひきつけられますね!

怪獣人間は基本的にわがまま。普通は我慢できることが我慢できない。でも、無理なんてないという発想でいたら、イノベーションが起こるんですよね。

起業家も同じ。スムーズに進められる事業なら差がつかないし、誰かがやっているはずで、大して儲からない。イーロン・マスクも三木谷浩史さんも、無理なことだから熱狂するんだと思う。「この壁を乗り越えたら絶対面白い! ブルーオーシャンだ」って。

ほとんどの人は、そこまでして成し遂げたい野望をもっていない。だからゼロイチの野望をもつ怪獣人間たちの近くで仕事をすると、大きなものを得られる。あらゆる方法を試すと、新しい景色が見えてくるし、解決可能なことしかないなって思えるようになるんですよね。

「こうあるべき」を、全部破壊したい

──数々の怪獣人間と関係を深めるなかで、箕輪さんご自身についての新たな発見や価値観の変化はありましたか?

根は変わっていないけれど、もともとの僕の特性がガンガン強化されて、スケールが大きくなっているのかな。リスクに飛び込むとか、危ういことが好きとか。

僕がしたいのは「人間の解放」。「こうあるべき」みたいなものを全部破壊していきたいんです。人を傷つけたらダメだけど、「こうありたい」という欲求に制限はいらない。日本だと「こうあるべき」が強いので、それを緩めていくような本を作りたい。

──「こうありたい」という自分の欲求に気づけない人もいますよね。

けんすうさんの『物語思考』が支持されているのは、そこな気がして。やりたいことがなくてもいいよっていうのが、けんすうさんの主張。ぼくも別にこれがやりたいとかないですからね。

実は『かすり傷も痛かった』は、2018年に書いた『死ぬこと以外かすり傷』の内容を全否定する本なんです。「やりたいことをやれ」って書いたのに、「やりたいことなんてないよね」とか。あんなに「熱狂せよ」って読者を煽ったのに、「熱狂は続かない」とか(笑)。

わかったのは、見城さんや孫正義さんは永遠に熱狂できると思うけど、僕はそういうタイプじゃないってこと。年単位でも日単位でも、めちゃめちゃ熱狂しているときと休んでいるときの周期がある。サウナに入って、水風呂入って、外気浴で休むみたいな。そのサイクルを回していくのが僕にとっては一番幸福度が高いと最近気づきました。

50歳、60歳になっても「死ぬこと以外かすり傷」と言っていたら、ちょっと嫌なやつですよね。価値観が螺旋階段を上るように変化していくほうが、人間としての味わい深さが出る気がして。

『かすり傷も痛かった』で「脱競争」を謳ったワケ
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