現時点では、バイデンの大統領令からG7の行動規範まで、いかなるイニシアチブも「核をめぐる意思決定を今後も人間が担い続ける」という自発的な約束以上の拘束力はない。アントニオ・グテレス国連事務総長が言うように「自律型致死兵器システム」を禁止する法的拘束力のある条約は重要だが、それだけでは不十分だ。核兵器に関して言えば、新興技術がもたらす新たなリスクを予測、緩和、規制するだけでなく、核を完全に排除しなければならない。

そのためには核兵器禁止条約を全ての国が批准し、核を非難し、禁止し、廃絶することを誓う必要がある。また核保有国は、サイバー攻撃に対するセキュリティー強化という名目も含め、核兵器の近代化と拡大への投資を直ちにやめるべきだ。

私たちは自律型システムが武力使用の敷居を引き下げることを知っている。AIが核兵器に応用されれば、既に許容範囲を上回っているリスクをさらに上積みすることになる。政策立案者も国民もその点を認識し、核兵器へのAIの使用を避けるだけでなく、核の全廃に向けて闘うべきだ。

©Project Syndicate

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MELISSA PARKE

オーストラリアの元国際開発相。2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の事務局長に今年9月に就任した
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