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電気自動車の燃料電池にリチウムは不可欠だが(岡山県倉敷市にある三菱自動車工業の工場) KIYOSHI OTAーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

現時点で中国産のシェアが高いのは、あの国がダンピングで市場を制覇し、他国の競争力をそいでいるためだ。しかし価格が上昇すれば中国以外の生産者も市場に参入しやすくなる。21年にガリウム価格が上昇したときは、ドイツの企業がガリウム生産の再開を発表している。

教訓2 代わりになる供給国は必ず見つかる

ロシアが天然ガスの供給を止めれば、EU諸国は寒い冬に燃料を確保できずに困るはずだと、ロシア側は踏んでいた。

しかし現実は違った。欧州各国はノルウェーやアルジェリア、アメリカなどから天然ガスを調達することができた。中国が重要原材料の輸出を規制しても同じことになる。そもそも西側諸国は、今でも中国への依存度を下げようと努力している。

もちろん、代わりの供給国を見つけるには時間と費用がかかる。しかし中国は、一部の重要原材料に関しては主要な生産国だが、決して「唯一の」生産国ではない。

レアアースを除けば、EUは5つの重要原材料(ビスマス、コバルト鉱石、マグネシウム、マンガン、ストロンチウム)の65%以上を中国から輸入している。だが中国以外の産出国も、価格が上昇すれば喜んで生産を拡大するはずだ。

世界のグリーン転換に欠かせない6つの原材料(リチウム、グラファイト、コバルト、マグネシウム、ニッケル、銅)は、中国以外の国でも採れる。これらの鉱物の埋蔵量が中国以外で最も多いのはオーストラリア、チリ、コンゴ民主共和国、インドネシア、そしてトルコだ。

これら原材料の新たな鉱脈が発見される可能性もある。昨年もオーストラリアやカナダの企業を中心に、鉱脈探査への投資額は20%ほど増加している。

教訓3 グリーン転換で欧米各国における精製施設の建設が進む

欧州のエネルギー危機が始まった頃、ロシア側は、欧州には他国から輸入する液化天然ガス(LNG)を処理する十分なインフラがなく、不足分を補えないと見込んでいた。

それから1年、今や欧州のLNG処理能力は過剰になるほどで、ロシアの脅しは欧州諸国におけるインフラ開発を加速させただけだった。

重要原材料も、採掘後の精製インフラを必要とする。この分野で覇権を握っているのは中国で、例えば世界のリチウム産出量の約50%から70%を精製している。だがこの状況が永遠に続くとは思えない。

同盟国間の結束はより強固に
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