とはいえ、こうしたアクティビティは、利用者のニーズに合わせて工夫しつつも、なるべく本来の形を維持して提供する必要がある。このバランスを取るのはなかなか難しい。

訪日外国人にも日本人にも東京の魅力を十分感じてもらうためには、それなりの投資が必要だ。旅行客が訪れたい場所とは、それとして「作り出される」べきものだからだ。

旅行先としての東京、生活の場所としての東京

究極的には、東京の最大の財産は、そこに生きる人々にある。したがって、東京の住民が世界の人々と、簡単かつ楽しくコミュニケーションを図れる工夫が必要だ。そのためには、観光業界は、多様な文化的背景を持つ訪日客を迎え入れる都内の観光地や事業者に対して、その負担を上回る経済効果をもたらす仕組みを作る必要があるだろう。

東京は、そのままでも極めて魅力的な旅行先だ。なぜなら、その最大の財産といえる人々が生活している場所なのだから。重要なのは、それをいかに持続可能なものにしていくかだ。


atokinson.jpgデービッド・アトキンソン
株式会社小西美術工藝社、代表取締役社長。 金融サービスコンサルティングの経歴を持ち、オックスフォード大学で日本学の修士号を取得している。ゴールドマン・サックス証券で様々な役職を経験し、成長戦略、観光、行政改革などに関連する政府の委員会の委員も務める。著書に『新・観光立国論』『日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義』(ともに東洋経済新報社)など多数。

翻訳/藤原朝子

※当記事は「TOKYO UPDATES」からの転載記事です。
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