アメリカに安全保障上の国益を脅かされているとインドが考える点は、ほかにもある。アメリカがミャンマーやイランへの制裁維持を主張する一方で、大量逮捕や拷問が日常的に行われているパキスタンには甘いことに、インドは異議を唱えている。

アメリカはパートナーから盾突かれることに慣れていない。冷戦期以降、アメリカは自らを「ハブ(中心)」として、同盟国とは別個に2国間条約を結ぶ「ハブ・アンド・スポーク」型の同盟システムを取ってきた。だが、インドはこれを受け入れない。

ホワイトハウスのキャンベル・インド太平洋調整官が認めたように、インドには「独自の戦略的特徴」と「他国に依存しない強国になりたいという願望」がある。インドはアメリカの従属国どころか、「新たな大国になる」と、キャンベルは言う。

そのとおり。米印を結び付けているのは共通の戦略的利益と、他国からの強制のないインド太平洋地域の秩序を維持するという方向性だ。中国が現在の路線を貫く限り、米印関係もこのまま続く。

©Project Syndicate

230627p15NW_ChellaneySQ.jpgブラマ・チェラニ

BRAHMA CHELLANEY

インドにおける戦略研究・分析の第一人者。インド政策研究センター教授、ロバート・ボッシュ・アカデミー(ドイツ)研究員。『アジアン・ジャガーノート』『水と平和と戦争』など著書多数。
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