確かに17年には、かつて米海兵隊のパイロットだった人物が、中国のパイロットたちに空母着陸技術を教えていたことが発覚して起訴された。

だが、中国に軍事技術を漏らしていた元軍人にヨーロッパ出身者が圧倒的に多いことは、体系的な問題があることを示唆している。

ヨーロッパは、中国の軍事増強が自らの安全保障に与える影響を軽視するのをやめるべきだ。中国は、欧米の安全保障と経済を支える国際秩序を変えたがっている。ヨーロッパの平和と安全を維持したいなら、現在の緩い態度を今すぐ改める必要がある。

ヨーロッパが中国の軍事的野心に無頓着である理由は簡単に説明できる。まず、最もきなくさいのは米中対立であって、ヨーロッパは部外者だという認識がある。

この感覚は、「ヨーロッパは台湾有事よりも、自身の防衛に尽力せよ」という米政府のメッセージによって補強されてきた。

言い換えるなら、アメリカの軍事立案者は分業体制を考えている。ヨーロッパはアメリカの大規模な支援を受けずにロシアに対して自己防衛し、一方のアメリカは中国の軍事侵略を阻むためにアジアに注力するという体制だ。

米政府が求める役割分担は、恐らくヨーロッパにとっても望ましい。だがドイツとイギリスによる中国支援は、この体制を揺るがしてしまう。

軍事機密を中国にばらまくことにヨーロッパが無頓着なのは、政府が軍事的脅威全般を真剣に捉えていないのが最大の理由かもしれない。

驚くには当たらない。ヨーロッパの産業界は兵器や軍民両用の技術を提供することで、少なくとも20年まで直接的にも間接的にもロシアの軍備増強に協力した。

協力禁止の法制化が急務

西ヨーロッパは、ウクライナ侵攻で遅まきながらロシアの脅威を真剣に受け止めざるを得なくなったが、中国についてはいまだ認識が甘い。中国に軍事機密を渡せば、アメリカとその同盟国はアジア地域の戦争に勝利するのが難しくなる。

それだけではない。敵に手の内を明かせば、アジアに限らずどこでも戦争の抑止が困難になる。だからヨーロッパは中国の脅威を軽視すべきではない。

甘い認識を捨てなければならない
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