アメリカも無関心ではいられない。中国の経済・軍事的な脅威が増しつつある今、日本のマンパワーの動向は日米双方の国家安全保障にとって抜き差しならない問題だ。もちろん日本も、長期にわたる防衛力の強化に取り組んでいる。

マーフィーは言う。

「日本は防衛産業の方向性をきちんと考えなければならない。マンパワーで勝負か、テクノロジーで勝負かだ。アメリカの他の同盟諸国も同じ問題に直面している。それは未来の戦争がどのようなものになるかという議論にもつながる」

既に日本政府は、防衛計画に人口減という現実を織り込んでいる。

昨年の防衛白書は、人口減が自衛隊の持続性と強靭性にとって「喫緊の課題」だと指摘し、隊員の減少を自動化や無人化の推進で相殺し、「費用対効果の低い」装備を順次退役させる必要があるとしている。

防衛省は現状で十分に活用できていない資源、つまり女性の活用も表明している(22年3月時点で女性自衛官は全体の8.3%だった)。また、事務系や技官なども含む全採用者に占める女性の割合を35%まで引き上げる目標も掲げている。

東京大学の白波瀬に言わせれば、こうした問題の全てに答えを出す責任は日本政府にある。そのためには、もちろん強いリーダーシップが必要で、全ての利害関係者が参加できるよう、惜しみなく政治資本を注ぎ込む覚悟も求められるという。

「なにしろ社会全体の核心的問題だから」と彼女は言い、変化をもたらすには「もう1つ別の価値観の共有」が必要だと付け加えた。

「まず、将来世代を育てる仕事に私たち全員が取り組まねばならない。また高齢者や生産年齢の人たちに説いて、世代を超えて助け合わなければ生き残れないと理解させる必要がある。すごく重くて知的な議論だから、最後は教育がカギを握る」

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