その1つの理由は、ESG重視の方針を打ち出すと、会社のビジョンが明確になり、社内の人たちの足並みがそろいやすい点にあるのだろう。

社員が自社のパーパス(存在理由)をはっきり理解し、それに沿って行動すれば、たいていの場合は社員の幸福度が高まり、生産性も向上する。

また、消費者が自己主張を強めていることも見落とせない。最近の消費者は自らの購買行動を通じて、どの企業を支持するかという意思表示をするようになっている。

消費者は、環境に優しい行動を取っていると偽装している企業にはそっぽを向き、真にESG重視の行動を取っている会社の商品やサービスを選ぶ。18年の調査によれば、アメリカの消費者の48%は「自らが環境に及ぼす悪影響を減らすために、必ず、もしくはおそらく消費行動を変える」と述べている。

投資家も、しっかりしたESG戦略を持った会社だけを投資対象にするようになっている。ESGを重視する企業は消費者に支持されると分かっているからだ。

口先だけでなく、真にESG重視の姿勢を貫いている企業は、ライバル企業との競争で優位に立てて、財務成績も良好になることは、データによって裏付けられている。

恩恵は約束されていると言っていい。勇気を持って、ESGの原則を実践するために大きな変化に踏み出し、思い切った投資をしよう。

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