砲弾受け、右目と鼻が裂かれた重傷の兵士

ノルウェー以外ではフランスも、航空医療搬送機をウクライナに派遣している国のひとつだ。英スカイニュースは、この輸送により一命を取り留めた元兵士のケースを報じている。

ウクライナ軍の第808支援連隊に所属していた30歳男性のマクス・ホロベツ大尉は、ロシアによる侵攻を受けた直後の昨年3月、南部ザポリージャに配置されていた。攻撃を受けて橋が損傷し、これによって橋に沿って走っていた通信網が遮断されたため、状況を確認すべく兵士2人とともに現地へ急行したという。

ところが、ホロベツ氏たちはロシア軍に発見され、砲撃を受けてしまう。砲弾の破片が顔面を直撃し、氏は重傷を負った。スカイニュースに対し、「(砲撃が)止むのを待って帰還しようとしたその瞬間、いくつもの砲弾が飛んできたんです。すぐにしゃがみ込んで顔を向けたところ、(破片を)頭部に食らいました」と負傷の瞬間を語る。

フランスから救護に飛んだ医療搬送機

ホロベツ氏は右目の周囲一帯と鼻の一部が裂かれる重傷を負い、顎の骨と頭蓋骨の右側も大きく砕かれた。ザポリージャなどウクライナ国内の外科医が処置を施したが、十分ではなかったようだ。戦禍のウクライナの医療施設では対応できない高度で長期にわたる医療が必要だった、とスカイニュースは指摘している。

やっとのことでアイルランドの首都ダブリンに病床の空きが見つかり、フランスから航空医療搬送ジェットが飛んだ。「すべてがとても迅速でした」とホロベツ氏は振り返る。氏にとってアイルランドが、初めての海外となった。

アイルランド国内でも病床が逼迫していたことなどで、治療には時間を要したようだ。だが、より専門的な手当を受けることができた。右目や鼻の周りはあちこちが痛々しく縫合されていたが、いまではすっかり元通りとなり、傷跡はまったくと言えるほど目立たない。

「顔を取り戻せるよう力になると、皆が言ってくれたんです」「元通りになって、みんなで喜んでくれました」とホロベツ氏は語る。

ウクライナでは、多くの医療機関が被害に遭っており、物資も不足している。EU域内などでの治療を可能にする航空医療搬送機は、負傷者の生命線となっているようだ。

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