攻撃はさらなる被害を生むだけだと、夫のウェイモンドは分かっている。自分も闘士だが、こぶしではなく思いやりで戦うと語る彼は、ここでも「男らしさ」のステレオタイプに異を唱えている。

極端から極端に振れるウェイモンドを、クァンは見事に演じる。おかげで、ハリウッド映画にありがちなアジア人男性像を浮き彫りにしつつ、かき乱し続けることが可能になった。その結果、アジア人男性が演じる主役の在り方を、本作は一新してみせる。

ウェイモンドもどんなアジア系の登場人物も、白人男性が演じる役柄と同様に、ただ一つの枠に押し込められる必要はない。彼らはエブリシング(あらゆるもの)に、オール・アット・ワンス(全て同時)になれるのだから。

©2023 The Slate Group

EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

監督╱ダニエルズ

主演/ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン

(日本公開は3月3日)

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