攻撃はさらなる被害を生むだけだと、夫のウェイモンドは分かっている。自分も闘士だが、こぶしではなく思いやりで戦うと語る彼は、ここでも「男らしさ」のステレオタイプに異を唱えている。
極端から極端に振れるウェイモンドを、クァンは見事に演じる。おかげで、ハリウッド映画にありがちなアジア人男性像を浮き彫りにしつつ、かき乱し続けることが可能になった。その結果、アジア人男性が演じる主役の在り方を、本作は一新してみせる。
ウェイモンドもどんなアジア系の登場人物も、白人男性が演じる役柄と同様に、ただ一つの枠に押し込められる必要はない。彼らはエブリシング(あらゆるもの)に、オール・アット・ワンス(全て同時)になれるのだから。
EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
監督╱ダニエルズ
主演/ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン
(日本公開は3月3日)
2026年6月2日号(5月26日発売)は「ヘルスリテラシー 健康知識を読み解くクイズ50」特集。
偽情報があふれる時代。医療・健康の知識を正しく見極め理解する最適の方法は?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます