プーチンがロシア政府から追放されるなら、やはり軍の手による可能性が高い。「戦争の敗北は体制変革の要因になりやすい」と、フーバー研究所のダイアモンドは言う。「もし23年にウクライナ軍がクリミアを奪還するか、ロシア本土を戦争に巻き込み始めれば、反プーチンの機運が高まる可能性はある」

既にロシア政府内部では、軍事侵攻をめぐるプーチンの性急な決断に対して不満がくすぶっている。この瞬間にも、プーチンをひそかに追放する計画が進んでいる可能性はある。

しかし大方の見方では、近い将来に革命が起きる可能性は低い。ノースカロライナ大学のカーズマンが言うように「市民運動は一般に失敗するもので、革命が起きないほうに賭ければ勝率が高い」のだ。

フーバー研究所のダイアモンドは、やや楽観的な見方も示した。23年の抗議運動は、「体制の弱体化が徐々に進み、場合によってはよりよい体制への転換が起こるという歴史的なプロセスの一環として思い返されることになる」かもしれないという。

この転換にどのくらいの時間がかかるかは分からない。「革命は一定のレベルに達したら止められない」とカーズマンは言う。「不満を抱える一部の人が行動を起こせば、それを見た他の人々も行動を起こし始める『バンドワゴン効果』が生じる」

流れが本格的に変われば、動きは急加速する可能性もある。「革命は後からだったら完璧に説明付けられるのだろうが」と、カーズマンは言う。「起こる前には、全く予測できないものだ」

©2023 The Slate Group

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