カスバートソン氏によると、レッド・ライオン・アンド・サンは照明を減らして営業しており、この冬中に閉鎖を迫られる可能性も否定できない。

ロンドン南部でパブ3軒を所有するケリス・ドゥ・ビリエル氏は、1パイント(568ミリリットル)当たり0.2ポンド程度の値上げでさえ、常連客にはこたえると話す。「お客さんの多くは高齢で、自宅の暖房代を賄うのに苦心する状態だ」という。

パブで水を飲む

一般物価も高騰しており、英国民が外出に回せる額は限られている。7月の英消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は10.1%と40年ぶりの高水準を記録し、一段と上昇する見通しだ。

ビールの醸造に欠かせないホップや炭酸ガスなどのコスト高騰に加え、人件費の上昇もパブを悩ませている。

イングランド銀行(英中央銀行)は、英国経済が年内にリセッション(景気後退)入りし、その状態が来年いっぱい続くと予測している。「今後数カ月間で、人々がパブに行く頻度はぐっと減るだろう」とアナリストは言う。

カスバートソン氏によると、レッド・ライオン・アンド・サンの客は既に出費を切り詰めている。

「ランチの飲み物に、ビールではなく水道水を選ぶ常連客を1日に3人も見た。以前なら月にせいぜい1回しか見かけなかった光景だ」と述べた。

コロナ禍でパブやバーが休業を余儀なくされた際には、国が緊急支援に乗り出した。

だが、今回も同様の支援があるかどうかは、まだはっきりしない。政府は新首相が決まる5日まで、新たな政策決定を行わないとしている。

「夜になるとベッドに寝転がり、どうすれば商売を続けられるかと悩んでいる」とカスバートソン氏は語った。

(Humza Jilani記者)

[ロイター]
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