政策として追求したい目標はない

トランプ流には、もう1つ見落とせない側面がある。いくつかのことを本能的に好んだり嫌ったりするのを別にすれば、トランプには政策として追求したい目標はほとんど、もしくは全くない。その結果、ルビオ国務長官やネオコン派の側近などの政権幹部たちがアメリカの外交政策を形づくることが可能になっている。メンツを重視するトランプの考え方から大きく逸脱することさえ避ければ、キューバやベネズエラ、イランの体制転換を目指すなど、幹部たちには自らが重んじる政策目標を追求する余地が生まれるのだ。

トランプは、近代以前のシチリア島や徳川時代の日本のように、誇りと名誉に重きを置く世界で生きている。それはディールが大きな意味を持つ世界でもある。そのような世界において、外交はゼロサムゲーム的な発想で自己の利益を追求することを通じてしか、安定を生み出せない。

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