SE4ALLでエネルギー効率・冷房部門を率いるブライアン・ディーン氏は、これから数年間は冷房需要が増大するため、すでに無理を強いられているインドの電力システムへの圧力が高まるとともに、地球温暖化ガスの排出量が増大する可能性がある、と語る。

ディーン氏はトムソン・ロイター財団に対し、「(このことが)より長期にわたる、さらに極端な熱波のリスクを深刻化させることになる」と述べた。

同氏は関連当局に対し、2019年策定の「インド冷却行動計画」の実現を急ぐよう呼びかけた。この計画は、新しい冷房テクノロジーの開発や、自然な換気機能を持つ建築設計といった対策を通じて、2038年までに冷房需要を最大25%削減することをめざしている。

科学者たちは、夏の猛暑が早くから始まったことを気候変動と関連付けて考えており、インドと隣国パキスタンに住む10億人以上が、何らかの形で猛暑によるリスクに晒されていると語る。

SE4ALLは、南アジアのムンバイやダッカなど他の多くの都市と並んで、冷房の不足によるリスクが最も高い場所として、パキスタン最大の都市カラチを挙げている。

そのカラチで活動する都市計画コンサルタントのファラーン・アンワル氏は、猛暑の主な犠牲者はカラチ市内の貧困層であり、コンクリート中心の都市景観が気温を押し上げる、いわゆる「都市のヒートアイランド効果」が猛暑の原因になっている可能性が高いと話している。

今すぐの行動が必要

インドでは、政府統計によれば3月下旬以降で少なくとも25人が熱中症で死亡している。過去5年で最も多い数だ。

インド西部、グジャラート州ガンディナガールにある私立大学、インド公衆衛生大学のディリープ・マバランカール総長は、この公式統計は「氷山の一角」を示しているだけだと指摘する。

多くの場合、暑さは「目に見えぬ殺人者」であり、死因として特定することは困難だとマバランカール氏は語る。暑さは健康状態の悪い人や高齢者に打撃を与えることが多く、狭くて換気の悪い屋内に閉じこもっていることで、間接的に暑さの影響を受けることによる死亡もあるからだ。

暑さによる死亡例の9割は、そうした猛暑による間接的な影響によるものだ、と同氏は言う。つまり、インドでは実際の総数のうち約1割しか猛暑による死亡にカウントしていない可能性が高いという。

「冷却屋根」を呼びかけ