森下医師によれば、起立性調節障害は、体質、性格、外部からの環境の3つの要因が相互作用的に働いて発症する。3つのうち、どの要因が強いかによって、おおむね4つの型に分類される。

●体質型

生れつきの体質、年齢に伴う自律神経機能の乱れによる身体機能の変調によるもの。

●疲労型

何かに集中し、頑張りすぎたために身も心も疲れ果てた結果、自律神経機能が乱れ、抑うつとなり、起立性調節障害を発症する。

●ストレス型

友人関係、いじめ、勉強の悩み、家庭の問題など、精神的なストレスが原因となっているタイプ。

●感染後型

風邪で発熱した後に、症状が出るタイプ。詳細は不明だが、細菌やウイルス感染が自律神経のバランスを崩すと考えられている。

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薬物治療だけでは効果が上がらない理由

起立性調節障害の治療に必要なのは、「全人的医療」だと森下医師は強調する。

起立性調節障害は、身体だけでなく、心理面の問題を含む場合がある。「身体」はもちろん、集中できない、落ち込むなどの「心理」の問題や、子どもに悪影響を及ぼす周辺環境である「社会」、自分への信頼の問題である「実存」など、子どもを取り巻く要素も含めて考えることが不可欠だ。

一般的に、起立性調節障害の治療は薬物療法が第一歩だ。小児科を受診し、起立性調節障害と診断されると、多くの場合、血圧を上げる昇圧剤が処方される。血管の収縮剤やビタミン剤などを使うこともある。

しかし、森下医師によると、これらの薬物治療だけでは効果がなかなか上がらないという。

その理由は、起立性調節障害は全身に分布する自律神経の機能不全にもかかわらず、これらの薬は循環系の一部にしか作用しないためではないかと言う。森下医師のクリニックでは、それらの薬と漢方薬を併用している。

起立性調節障害の背景に、悩みごとや睡眠の問題、疾病利得など、身体以外の問題が隠れていると、薬だけで解決することは難しい。それらの問題に対し、状況に応じた対応が必要になる。

その対策の一つとして森下医師が勧めるのが、「行動日誌」だ。起立性調節障害の子どもは、「だらだらした毎日」を過ごしていることが多い。この生活が長く続くと、中味のない生活に後悔だけが残っていくことになる。

そこで、自分が具体的にどんな生活をしているかを確認するための方法が「行動日誌」になる。

食事や入浴、入眠や起床などを記録していくことで、自分の生活パターンを知ることができる。エピソードや気持ちの動きなどを細かく記入していくことで、生活に悪影響を及ぼしている要因を見つけることにもつながる。

親が子どもに伝えるべき「2つの倫理」
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