これはレジリエンスとは異なる。回復とは逆に苦しい状況が続いているが、本人たちは黙ったまま孤立しつつあり、政府からも無視されている。

同じような状況の人が全国に何人いるのか。その間に、政府はピカピカの「東日本大震災・原子力災害伝承館」(写真、福島県双葉町)などの建物を建て、「復興した」と世界に向かって発信する。東京五輪の聖火リレーが福島県から出発するのも、そのためにすぎない。

結果的に、現地に行くことのない外国の首脳はそれを信じて、「レジリエンス」だという結論に至る。つまり、最も支援が必要な国民に反抗的な精神がないことや悩みを言わないことが、日本の良いイメージづくりをしたい日本政府に悪質に利用されている。私はそれに対する強い怒りを感じている。

ただ、そうした状況になったのには、記者である私の責任もある。もっと悩みのある人々を取材した上で、きちんと報道すべきだった。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン

KARYN NISHIMURA

1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
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