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ウクライナ国境付近に集結したロシア軍部隊(1月27日) SERGEY PIVOVAROV-REUTERS

それだけではない。プーチンはアメリカを挑発し、アメリカがロシアを深刻な脅威と見なさざるを得ない状況に追い込み、それによってロシアは超大国だというイメージを売り込んでいる。

ロシアのテレビ放送で見ると、米ロ首脳会談はあたかも、2人の対等な大人が(ウクライナを含む世界中の小さな国々という)子供のあしらい方を話し合っているような印象を受けた。

むろん、今に始まったことではない。なのになぜ、欧米諸国は気付かないのか。なぜ毎度のようにプーチンの罠にはまってしまうのか。

ここ数週間で、プーチン政権は大いに点数を稼いだ。

まず、主導権は自分にあり、自分が世界中の新聞の見出しになれることを証明した。世界にも自国民にも、その気になればロシアは何でもできるという印象を与えた。

欧米諸国(と、そのメディア)が大騒ぎしているのも、プーチンなら本当にウクライナに侵攻しかねないと思うからだ。

国内的にも国際的にもひたすら軍事力に依存している体制にとって、内外の潜在的な「敵」に、そう思わせるのは重要なことだ。

次いでプーチンは軍隊を動かし、欧米諸国に衝撃を与えた。そしてウクライナ侵攻が現実になった場合の対策を協議するよう仕向けた。

追加制裁が科されるとしても、それはプーチンの想定の範囲内。むしろ、制裁に関する議論で欧米側各国の温度差が露呈することに、ロシア側は期待している。

いくら強力な制裁と言っても、足並みの乱れはすぐに露呈する。NATOもEUも、しょせん一枚岩ではない。現にドイツなどでは、一国の政府内でも意見が割れている。

プーチンはまた、旧ソ連の衛星国でNATOに加盟し、あるいは加盟しようとしている諸国(ウクライナを含む)に対し、NATOは信用できない、いざとなっても優柔不断だというイメージを植え付けることに成功した。

ウクライナ侵攻が現実になれば欧米諸国は新たな制裁を発動するだろうが、それ以上踏み込むことはないはず。どうせ欧米諸国は軍隊を出してまでウクライナを守ろうとはしない。以前もそうだったし、今度もそうだろう。

そう思わせてしまう状況が、プーチンのロシアを利する。

アメリカの敵でありたい

ロシアが言いたいのはこういうことだ。

ウクライナよ、ロシアの勢力圏から離れたら最後、頼れるのは自分だけ、誰も本気で助けてはくれないぞ。ちなみにロシアは、仲のいい独裁国家(例えばカザフスタン)を助けるためなら喜んで軍隊を送る。

欧州諸国はアメリカに感謝すべき
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