東京都内の公園の清掃作業
行政から発注される掃除の仕事をこなす男性たち(撮影=筆者)。

国民年金と厚生年金は手取りが減るのが嫌だからと会社の勧めを断って払わなかった。どこまで本当か分からないが、三十五歳で家を解約し、それから四十年間路上で生活しているとのことだ。

鉄人はホームレスとは思えないほど清潔だが、これにはカラクリがある。鉄人の紹介で引っ越しセンターで働いていた男たちが現在何人も、生活保護を受けながら山谷のドヤで暮らしているという。被保護者は年間で六十枚、行政から銭湯の入浴券が交付される。それらを昔からの人脈を使ってかき集めているのだ。

昔助けた仲間のよしみでほかにも様々な助けをもらっているという。

生活保護を受けながら月収は二十五万円

鉄人のとなりにいた二人が「ドヤに戻る」と言って先に帰り、鉄人と二人きりになった。

「あの二人も生活保護を受けて山谷のドヤに暮らしてんだ。金が入っても三日で全部ギャンブルに使っちまうからよ、一緒に炊き出し回ってんだ。アイツら毎月ガバガバ金が入ってくるんだぞ。月収二十五万くらいはあるだろうな」

二人は、年金をもらいながらダンボール手帳()の仕事とシルバー人材派遣の仕事(月約十万円になるという)もこなし、その上で生活保護(現金書留でもらっている)を満額受給しているという。

(※)求職受付票。路上で寝る野宿者のための手帳なので、通称ダンボール手帳と呼ばれている。これに登録をすると、月に三回ほど東京都から清掃の仕事をもらうことができる。

一定額の控除はあるが、収入があればそのぶんの生活保護費は差し引かれるはずだ。

「そんなことできるんですか」

「法の網をかいくぐればできちゃうんだよ。法には必ず抜け道があるからな。山谷で同じことやってる奴が五十人はいるぞ」

「どうやってやるんですか」

「そりゃ詳しいことは言えないよ」

生活保護は性善説で成り立っている

どういった方法が予想されるか。社会問題に詳しい弁護士の大城聡氏に聞いた。

「少なくとも虚偽申告をしているということにはなるでしょう。そもそも生活保護を受給している場合、収入があれば申告をしなければいけない。法の抜け道という話ではなく、ただ単にルールを破っている(=収入の申告をしていない)ことが見つかっていない、というだけの話のように思えます」

不正にフォーカスすると、救いたい人を救えない