<米中西部・南部を襲った史上最大級の竜巻が残した大きすぎる傷痕。だが完全に破壊されたブロックがある一方、たった1キロ半離れているだけで停電すらしていない地域も>

夫と私は最初の警報音でたたき起こされた。2021年12月11日土曜の午前1時、まだ2時間しか寝ていなかった。

まず携帯電話のアラームが鳴って、私たちは目を覚ました。すると外からも警報が聞こえてきた。

まるで闇夜を切り裂く空襲警報。考える暇はない。跳び起きて着替え、避難に備えて靴を履き、コートも着た。慌てはしなかったが、ついに来たかと思った。

私たちがケンタッキー州ボーリンググリーンに引っ越してきたのは2008年。あの頃、竜巻警報が出るのは年に1度か2度で、それも夏の間だけだった。まさか12月に出るなんて。

本当に来るのかと、町の人たちは竜巻が来る前の金曜日から心配していた。

この辺りの家には地下室がない。干上がった地下水脈の洞窟があるから、地面は掘れない。

だから私たちは寝室を出て、窓のない廊下に避難した。でもエアコンがないから暑い。12月の深夜なのに、妙に暑い。

ああ、今度こそ私たちの町がやられるのかしら。そう思った次の瞬間、電気が消えた。天気予報も見られない。孤立、だ。

午前1時20分。雨が激しい。今までに聞いたこともない、ドラムをたたくような雨音。続いて、今度は何かが屋根に当たる音。すごい。

「竜巻ね」

私が言うと、夫は「ただの雹(ひょう)さ」と言った。「竜巻なんかじゃないよ」

私を安心させたかったのだろう。でも、私には信じられなかった。

「これがただの雹?」

私はそう言って彼の目を見た。

貨物列車のような轟音

逃げようとは、思わなかった。怖くて動けず、ただ抱き合っていた。何かが屋根を、路面を、そして立ち木をたたく音。何かが引きちぎられる音。

竜巻の音は向かってくる貨物列車に似ていると聞いていたが、本当だ。音の洪水。あらゆる騒音が押し寄せる。ほかの感覚が全て麻痺してしまうほど圧倒的だ。

と、次の瞬間、音が止まった。不気味な静寂。

「いま何時かな?」と夫に尋ねた。真っ暗で腕時計は見えない。コートから携帯を引っ張り出し、時刻を見たら5分とたっていなかった。

後でいろいろな人と話したが、竜巻が続いた時間については意見が分かれる。私には3分くらいに思えたが、90秒と言う人もいた。

竜巻警報がまだ続いているか、ツイッターで確認したかったが、夫の携帯にも私の携帯にも電波が入らない。

私たちは廊下でさらに30分待ち、数分置きに外をのぞいた。午前2時頃、パトカーの青い光が私たちの家を照らし出した。その後はまた暗闇と不気味な静けさが戻った。

「辺りの様子、知ってる?」
【関連記事】