――タイムトラベルものの映画で好きな作品は?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は科学という見地からは全くばかげていると思う。陳腐な描写がてんこ盛りで、私はこれまで(映画制作に関わるなかで)そういうものをひっくり返そうとしてきた。登場する科学者の「ドク」も、科学に関わる人間のイメージ改善を目指して私たちが使わないよう努めてきたあらゆる属性を備えている。だがそれでも私はこの映画が大好きだ。映像作品の最高傑作の1つだと思う。

インディーズ映画でのお気に入りは、シェーン・カルース監督の『プライマー』だ。すごくややこしい話だけれど、全体的に見ると納得できる感があるから気にならない。

――科学はストーリーの一部となることで、感情に働き掛ける力を手にする。宇宙に出ると時間の流れが変わることを知識として知っているのと、他の星から戻ってきたら幼かった娘が中年になっていたという話を追体験するのとでは大きな違いだ。

SFの素晴らしい伝統に、本来のパラメーターをちょっといじったときに人間の状態がどうなるかを想像して描くというものがある。過去へのタイムトラベルはその一例だ。実際の科学にもそういった要素がいっぱいある。

だから科学者と物語の作り手の間の対話はもっと奨励されるべきだ。そうすれば少なくとも、物語の新たな語り方への道が開ける。もしハリウッドの映画会社の重役が、昔からよくある物語に新たなひねりを加えてもう一度使いたいと思うなら、科学を使わない手はない。

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