クルーグマンもサマーズも「現代貨幣理論(MMT)」については論じなかった。バイデンはバーニー・サンダース上院議員のようにMMTを受け入れていない。中央銀行の関係者も、金融政策と財政政策の境界を曖昧にするMMTをそのまま支持することは決してない。しかし、インフレや国際収支悪化、自国通貨の為替レート下落につながる危険こそあれ、自国通貨を発行する政府は破産することはないという最も重要な、しかも忘れられている基本的事実をMMTは教えてくれる。MMTにも弱点はあるが、クルーグマンとサマーズがMMTについての見解をはっきり示せば、彼らのメッセージはもっと理解されただろう。

景気刺激策を支持するバイデンとクルーグマン、イエレン財務長官はもちろんインフレリスクを理解しているが、コロナ禍では解雇された労働者の苦境を救うことが最優先だ。一方、サマーズは民主党のより広範な経済政策の実現に懸念を抱く。インフレ期待から金利が上がり、株価が下落する可能性までが視野に入っている。

解雇と貧困に直面する数百万のアメリカ人を救うためどのようなリスクを取るか、最後に決めるのは政治家だ。

© Project Syndicate

<2021年3月16日号掲載>

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